小さいが大きな125歩目

こんばんは。harunotiuesugiです。

今日は私の昔話の続きを。

前職のお話しですが、基礎研究チームから商品開発チームに異動した私は「モノ作り」の楽しさに目覚めていきます。まず、私に最初に与えらたミッションは安価なシャンプーとトリートメントの処方開発でした。前職のメーカーでは、私が入社した頃は、完全な「プロダクトアウト型」で製品開発を行っていました。つまり、実際に処方を開発する研究員が「こんなヘアケアがあったら絶対売れる!」という考え方。もちろん、社内だけで、OKとするわけには行かないので、専属で幾つかの美容室のオーナーと契約し、そこの美容室でプロトタイプのモニターを行い、精度を高めていくという手法でした。前職のメーカーは直接、皆さんのようなエンドユーザーに対して商売をするわけではなく、美容室に商品を卸す代理店に商品を販売するBtoBと言われる体系をとっていました。そのため、代理店が美容室に商品を売り、更にその美容室から実際に美容室に来ていただいた皆さんのようなお客様に売るといった流れとなります。皆さんが美容室で商品を買われる場合、何を大切にされていますか?もちろん商品の良さで買われているかと思いますが、懇意にしている美容師さんに「このシャンプー凄い良いから使ってみてよ」と言われて購入したことがあるのではないでしょうか。そうなんです。美容室で商品を売る場合、まずは、その商品を売る美容師の方に気に入ってもらわなければ始まらないんですよね。ですから、前職のメーカーでは、美容師の方々にモニターを実施したという訳です。(まぁ。その後、これだけでは駄目だということでシフトチェンジしていくのですが、それはまた先の話)

ちょっと、いや、かなり話が逸れましたが、何故、当時の会社のスタンスがどちらかというと「安いは悪かろう」とう考えであったのに、安価なシャンプーとトリートメントの開発を行うことになったのか。それは、同時の事業本部長が「このままでは、いずれ立ち行かなくなる。いくら、質感がすこぶる良くても、原価の高い製品を作り続けいては高い利益率を確保することはできない。そもそも、自分のところの研究員がいい!!という商品が世の中に出回った時に良いとなるかは分からない。所謂、自己満足で商品を開発して世の中の求めている製品よりオーバースペックであっては意味がない。だったら、世の中の求めているギリギリの質感を原価を抑えて開発し売った方が、確実に利益に繋がる。」と考えていたからです。それを聞いた、当時の先輩研究員は「そんな製品を開発したって面白くないし、今までの会社の色に合わない。作っても売れるわけがない」と小言を言っていましたね。この発言、今考えるとかなりOUTな発言ですよね。いままでが良かったから、これから先も良いとは限らないのに、過去の成功体験に縛られた発言です。しかも、たちが悪いことにそんなの作っても面白くないとも思っている。いやいや、会社の社長じゃないんだから、誰のお金を使って研究開発が出来ているかを完全に見失っている発言ですよね。。でも、幸いなことに当時の私は、商品開発を行ってきたことがないので、安価な処方を作ることに対して抵抗がありませんでした。むしろ、今までの暗黒世界から抜け出し、新たなことにチャレンジ出来る楽しみでワクワクしていましたね。商品開発チームでの仕事は、基礎研究チームと違って開発の締め切りが半年から長くても1年半とスケジュールがタイトであったのも、私の性に合っていました。また、商品開発チームでは毎日、何かしらのシャンプーやトリートメントのプロトタイプを作っては、自分や当時の彼女(今の妻です笑)に使って、試し、目標と異なることを都度、修正する。ということを繰り返していたので、少しづつであっても着実に前に進んでいる感覚があったんですよね。なので、1日朝起きて、2つのシャンプーを半頭で使用して泡立ちや質感、仕上がりを確認。その後、会社で午前中に同じように髪を洗い、更に午後に1回、夕方に1回、家に帰って1回と多い時で1日5回くらい頭を洗っていました笑(頭皮がカサッカサになりました。。)。でも、この時、本当に仕事が楽しかったんですよね。正に、没頭していました。従来、私の性格上、一つのことにこうだ!と決めたら、細かな部分も気になりだし、自分で言うのもなんですが、かなりの集中力を発揮するタイプでした。これ、逆に言うと、やらない時はやらないというかなりムラっけのあるタイプです。ですので、この時は寝る間を惜しんで処方開発をしていたと記憶しています。また、それが許された時代でもありました。今なら、OUTでしょうね。。でも、研究者は手を動かして、自分で経験してナンボなんですよ。人から言われただけ、ノウハウを教わっただけでは、絶対に成長しないと私は思います。自分で見て、聞いて、やって。この連続のスパイラルで成長していくものだと思います。これは、研究者だけでなく、どの仕事も同じかもしれませんね。当時の私はそれができたので、自分の限界は越えることができることが分かったし、楽しく仕事をできることも身体で覚えることが出来ました。今考えると、あの経験がなかったら、今の私はいないかもしれません。この、充実した1年間を過ごし、私は初めて仕事を形にすることが出来ました。安価なシャンプーとトリートメントを作ることが出来たんです。でも、その当時はどの製品にも使われることはありませんでした。なぜなら、やはり安価であったため当時の研究内で求める質感には遠かったためです。(でも、これ、当たり前なんです。なぜなら、当時の研究内で今まで作っていた製品がオーバースペックであることを気づいていたのが、私を含め安価な処方を開発していた4名と私を引っ張り上げてくれた商品開発チームのリーダーくらいだったので。。)

それでも、私がしてきたことが形になったことが嬉しくて、凄い充実感と達成感を覚えていたことを今でも覚えています。でも、この商品開発チームで私は更に仕事の楽しさと奥深さを知ることになります。その続きはまたの機会で。

 

★過去の振り返りからの学び

 改めて過去を振り返ることで、自分が何に対して楽しさを感じて、のめり込んでいたのかを知ることが出来る。それを知ることで、自分が本当にやりたいことや自分が向いている事を改めて知ることが出来るのではないだろうか。よく、目標を掲げ、未来を見据えて成りたい自分を想像することが大切である。と言われたりするが、その前にまずは、過去の自分を振り返ることが重要だと私は思う。少なからず、今の自分は過去の自分が作ったものである。だとすれば、未来の自分作るには、過去の自分からどうしたらより良い未来を作ることが出来るのか、教えてもうらことも必要ではないだろうか。